2018.03.25 Sunday
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「流行にならって、自己改革をするのさ」
“恋愛を夢見た男も、権力に憧れた男も、ともに失意の人生をおくってしまった。どうしてだろう?”
“本来幸福とは産を成し名を成すことではなかった。祖先の祭祀をあつくし、祖先の意志を帯し、村民一同が同様の生活と感情に生きて、孤独を感じないことである。我々の周囲には生活と感情とを一にする多くの仲間がいるということの自覚は、その者をして何よりも心安からしめたのである。そして喜びを分かち、楽しみを共にする大勢のあることによって、その生活感情は豊かになった。悲しみの中にも心安さを持ち、苦しみの中にも絶望を感ぜしめなかったのは集団の生活のお蔭であった。村の規約や多くの不文律的な慣習は一見村の生活を甚だしく窮屈なものに思わせはするが、これに決して窮屈を感ぜず頑ななまでに長く守られたのはいわゆる頑迷や固陋からばかりではなかった。いいとしてこれが守り得られるものがそこにあった。それがこの感情的紐帯である。そしてその紐帯の修得が今まで縷々としてのべ来たったような方法によってなされたのであるが、これがさらに村の共同生活によってあたためられ、新たにされ、また維持せられていったのである。”
“無論農村には大きな変貌があった。共に喜び共に泣き得る人たちを持つことを生活の理想とし幸福と考えていた中へ、明治大正の立身出世主義が大きく位置を占めてきた。心のゆたかなることを幸福とする考え方から他人よりも高い地位、栄誉、財などを得る生活をもって幸福と考えるようになってきた。”
“こうして幸福の基準、理想の姿というものがかわってきた。がそれは、根本からかわったのではない。ただ時代の思想の混迷の中に、新たなる基準が見出せなかったのである。そして、基準を失ったということが村落の生活の自信を失わせることにもなり、後来の者への指導も投げやりになっていった。”
評価:
フィッツ=ジェイムズ オブライエン 光文社 ¥ 1,080 (2014-11-12) |
“信じがたいほど多面的だったこの人物はアメリカで最初のSF作家のひとりであり、同時にアメリカのファンタジーの書き手のなかで、最も独創的な人物のひとりであった。”
(ジャック・サリヴァン編『幻想文学大辞典』 国書刊行会)