2018.03.25 Sunday
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「神さまのおとがめがこわい、だから、何か事件にあえば騒ぎをおこし、供物をもらおうとする。<略>よく気をつけて、幽霊の計略に乗らないようにするのだよ」。幽霊に誘われて思わず首をくくったり、入水したりしそうになるというエピソードは、怖い話にはありがちなものですが、それはその場所で死んだ幽霊が、自分が生まれ変わるために身代わりを求めて行ってるそうなのです。これまた幽霊自身の語るところ。
「天帝は生を好まれるがゆえ、人間が自分で命を絶つことを望まれぬ。忠臣が節義をつらぬき、烈婦が貞操を守りとおして自殺した場合は、横死ではあるが、寿命を完うしたのと変わりがないため、身代わりを待つ必要はない。状況が切迫し、生きのびる道がほかになくて自殺した者の場合は、それがやむを得なかった点を憐れんで、やはり生まれ変わらせてもらえる。それも生前の事跡を考査し、善悪に従って報いは受けるのだが、身代わりを待つ必要はないのじゃ。ただ、もし一筋でも生きのびられる道があったり、小さな怒りががまんできなかったり、または死んで人に祟り、ぞんぶんに恨みを晴らしてやろうと思ったりして、軽率に首をくくった者の場合は、天地が万物を生かそうとする心に甚だしくそむくので、身代わりを待たねばならぬとし、見せしめとするのじゃ。このために浮かばれぬまま死んだ土地に閉じこめられ、時には百年に及ぶこともある」
「人間は陽のもの、幽霊は陰のものです。狐は人間と幽霊の中間にありますが、やはり陰のものです。ですから現れるのは必ず夜で、陽気の盛んな白昼には、軽々しく人に会おうとはいたしません。某の奥さんはもう陽気が衰えておいでですから、私もお目にかかることができたのです。」
「だいたい狐が色で人間を誘うには二種類ありまして、一つは魅惑するため、一つは前世の因縁からです。魅惑するときは陽気が陰気に侵蝕され、侵蝕されれば病気になり、侵蝕しつくせば死んでしまいます。前世からの因縁の場合には、人間のほうにもとから動機があって、二つの気が感じあい、陰陽がぴたりと合致しますから、いつまでも無事でいられるのです。でも、魅惑の場合が十のうち九までで、前世からの因縁は一割にすぎませんし、魅惑するときでも必ず前世からの因縁と言いたてるものです。ただ人間に害を与えるか与えないかで、その言葉の真偽を知るほかありません」