靄靄読書録
もはや本のことしか書いていない……
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2007.12.26 Wednesday
author :
靄
スティーヴンソン怪奇短篇集
スティーヴンソン怪奇短篇集
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評価:
ロバート・ルイス スティーヴンソン
福武書店
---
(1988-07)
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読書
うわっ、これ面白すぎ。
「びんの子鬼」って、これ非常に有名な話かもしれませんが、この発想は秀逸だと思います。
寿命を延ばす以外は何でも願い事をかなえてくれるものの、それを所有したまま死んでしまうと、地獄で永久に苦しむ羽目になるという不思議な瓶があります。その瓶を手放す方法は、もとの購入金額よりも低い金額でほかの誰かに売ることだけです。
ある男が、その瓶を50ドルで購入し、かねてより願っていた立派な邸宅を手に入れました。その後その瓶はすぐに、それを欲しがった友人に売り渡されました。望みがかない、瓶も無事手放せたあとで、その男は美しい女性と恋に落ち、めでたく結婚することになりましたが、その直前に、自分がハンセン病に罹っていることに気づきます。結婚をあきらめることも、病気を隠して結婚することもできかねたため、男は病気を治すために再びあの瓶を手に入れたくなりました。友人からはとうに手放されてしまっていましたが、なんとか現在の持ち主を見つけ出すことができました。ところが、その瓶が最後に買われた時の値段はなんと、たったの2セントだったのです。もし自分がその瓶を1セントで購入してしまったら、もう誰にも売り渡すことはできません。しかし、目の前の幸福のために地獄に落ちる覚悟で、男はその瓶を買ってしまいました。
何事もなかったかのように病気が治り、愛する女性と結婚できたものの、常にその瓶のことが頭から離れないため、男は全く幸せではありませんでした。そんな夫の様子に気づき、訳を問い詰めた妻は、その瓶のことを知り、夫にある提案をします・・・・。
この”買った金額よりも安く売らなければならない”という制限が、たいへんな難題となっているのです。さらに夫婦愛によって、より苦しい展開となってしまって、もう大変。結末まで読まずに本を置けませんでした。
さらに「ねじけジャネット」という作品は、書いた当の作者自身をも震え上がらせたほどの恐ろしい話です。牧師館の手伝いをしている首がねじけて、顔の歪んだ女性ジャネット、その姿の理由とは・・・ヒ、ヒ、ヒ、ヒェー!!!!非常に秀逸な怪談だと思います。本書の中ではダントツに怖かったです。
そして、お金のために古物商を殺めてしまった男の前に、不思議な人物が現れる「マーカイム」。良心の勝利という説教くさい題材を扱いながらも、非常に緊迫した”読まされる物語”になっています。「たとえぼくが悪いことをするように運命づけられえいるとしても、まだ一つだけ自由の扉が開かれているんです―――。」
「声の島」における不思議な魔法の話も面白いですし、船旅をしている宿無し女の美しい装身具に心奪われてしまった女の話「宿なし女」で描き出された、破滅へ導く女性の虚栄心も凄まじいです。謎めいた冒頭で、ぐっと心を惹きつけられる「死体盗人」(ゴーリー編纂の『憑かれた鏡』にも収められています)も、お約束的ではありますが、面白い怪談です。炉辺話風の「トッド・ラプレイクの話」に登場する、にたにた笑いながら、目を閉じて、心ここにあらずといった様子で機を織っている不気味な男の姿には、かなりゾッとさせられました。
『新アラビア夜話』を読んだときにも思いましたが、スティーブンソンって面白い!コレは是非粗筋だけで読んだ気になってしまっている『ジキル博士とハイド氏』を読まねば。
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