靄靄読書録
もはや本のことしか書いていない……
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2004.10.30 Saturday
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靄
大人にも子供にもおもしろい本
大人にも子供にもおもしろい本―虹の町の案内板
向井 元子
子供の頃からほとんど読んでこなかったので、私にとって児童文学は、手つかずの鉱山のようなものです。そこには素晴らしいものがたくさん埋まっているに違いないのですが、闇雲に掘り進むというのは、なかなか大変なこと。ここは是非有能な山師にご登場願いたいなんて思っていたところ、たのもしい案内人に出会うことができました。
”子供文庫の世話人”というボランティアをされている著者が、80年代、雑誌『潮』で連載されていた「大人と子供に薦める子供の本」をまとめたものだそうです。
もう読みたい本がザックザクです。
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2004.10.26 Tuesday
author :
靄
人魚姫殿
人魚姫殿
水野 純子
水野純子さんの童話シリーズ、三冊一気に読んだら、ちょっと気分が悪くなってしまいました・・・。
水野さんの漫画は、一言でいうと、”エロv可愛vグロv”でしょうか(v(ハート)は必須)。生理的レベルで気持ちの悪いものが、とっても可愛いい絵柄で描き出されています。心惹かれる素敵なものと拒絶したい嫌なものが融合した作品に、つんのめりそうになりながらも、しっかり惹きつけられてしまっています。『シンデラーラ』において、死んだ父親がゾンビになって蘇ったとき、シンデラーラが示した反応、「ウソーッうれしい!でもちょっとこわい・・・でもうれしい」、水野作品を前にした私の反応も、まさにそんな感じです。
この童話シリーズ、『シンデラーラ』、『ヘンゼル&グレーテル』、『人魚姫殿』の三作なのですが、私的にイチオシなのは『人魚姫殿』です。『シンデラーラ』、『ヘンゼル&グレーテル』にあった、バカバカしさのようなものがなく、非常に奥行きのある物語になっているからです。しかし、バカバカしさがあれば、どんなに悲惨な物語であっても、それが救いになりますが、この話にはそれがありません。悲惨な話が苦手な私にとっては、つらい作品ですが、ううーっ、ううーっ、と、唸りながら、気がつけば、続けて3度も読み返してしまっていました。
*
うまそうに食べていたくせに 人間の肉を食べて育ったくせに・・・
人間の肉でできているくせに・・・
ああ 人間になりたい 人間に・・・
*
母親を人間に殺された人魚の3姉妹が、海中で娼館を営み、そこへ人間を連れ込んでは、殺し、食べて暮らしているお話です。そんな人魚姉妹の次女が、よりにもよって、母親を殺した人間達”内海一族”縁のものと恋に落ちてしまいます。誰にも祝福されない、誰かに見つかればどちらかが殺されてしまう危険な恋。人魚の次女は、人間になる決意をします。ところが、人間になるはずの次女は、思いがけないものに姿を変える羽目に・・・。また、誰よりも人間を憎み、内海一族を滅ぼすためだけに生きてきた長女は、あっけなくその願望がかなったものの、全く満たされないまま、悲惨な境遇に身を落としてしまいます。なんて粗筋は、書くだけむなしいです。だってこれは漫画で、しかも全コマが素晴らしいのですから。
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